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2008年12月 9日 (火)

建設業は悪者でよいのか?

冒頭、仰々しいタイトルを書いてしまいました。
これは一昨日放送された、スカパー朝日ニュースター、「武田鉄矢の週刊鉄学」の番組テーマです。
(※今後数回の再放送があるようです)

実はこの放送、北海道の建設関連業界紙にお勤めの「北海道のA木」さんに教えていただき知りました。

一昨日放送時間帯は自宅にいなかったため録画しておきました。
番組を教えていただいた「北海道のA木」さんから番組を見た感想を聞かせて下さいと言われていたのでここで書いてみたいと思います。

※記事内画像は朝日ニュースター映像のキャプション画像を使用させていただきました。

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番組オープニングです。

今回のテーマはズバリ!
建設業は悪者でよいのか?」です。

司会は武田鉄矢氏です。
02__3 最近はこのような番組にも登場されているのですね。
なかなか面白い語り口で番組進行も良かったように思います。


04_ コメンテーターは東京大学大学院教授松原隆一郎氏です。
専攻は社会経済学、相関社会科学との事ですが、今回出演された意味合いが良くわかりませんでした。


そして今回のメインコメンテーターはやはりこの方かと思います。
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米田雅子氏です。

現在慶応大学理工学部教授をされています。
建設業界に大変詳しく、建設トップランナーフォーラム顧問、内閣府規制改革会議委員も就任されています。

そして番組内でも簡単に紹介されていましたが、米田先生の有名な著書も紹介されていました。



さて番組内の本題に入ります。

今回番組では3つの柱で討論がなされました。

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まず1番目のテーマである「建設業の現状」についてです。

現在全国の建設関連就労者は約550万人で全就労者人口の8.7%に当たるとのことです。

しかし、他業界では需要供給の自然バランスにより業者数が淘汰されてきたのに対し建設業は実態に合わない供給過剰傾向にあるようです。

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図に示されている通り、平成4年度に84兆円あった建設投資が平成19年には4割減の48.7兆円に縮小しています。

しかしそれに対し建設関連就業者数は2割減、業者数は1.5割減にしかなっていません。

この結果、市場規模と業者数のバランスが極めて不均衡に陥っています。

この点に関し米田先生は国土建設の戦後史にその要因を垣間見ることができると指摘されていました。
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戦後の日本は復興のため国土基盤整備を国策とし建設産業振興とその増大を図り高度成長期を迎えました。

他国の先例にあるよう、先進国では社会資本整備がある程度落ち着くと安定成長期に入りそれほど多くの建設投資を必要としなくなります。

しかし対米貿易の不均衡解消を名目とした円高ドル安対策を採るプラザ合意がなされました。
これにより安定成長期にあった日本でしたが、内需拡大を名目に地方公共投資が増大したのです。

つまり国策として建設業は延命され自然淘汰はなされず今日まで来ている訳です。

しかしながら、国の無策や政治的背景もあり、近年公共事業を含む建設投資が大幅に削減となり、つい最近では世界的経済不況と相まって死に体状態の業者が増加しているのが現状です。




次に2番目のテーマである「建設業の地域社会貢献とは」についてです。

最近地方のお祭りが減っているそうです。
その原因に地域建設業の衰退が少なからず影響しているのです。
また、建設業は地域社会における重要な雇用の場でもあるのです。

今まで建設業は地域に根ざし、また地域と一体になり地域社会貢献に大いに寄与してきました。
地域を一番良く知る地場建設業に元気がないのは、まさに地域の灯りが消えたのと同じと考えられます。

また重要な地域社会貢献として地震や災害時の活躍も挙げられます。

一般的な工事発注とは別に、地震や災害における緊急対策は国家の危機管理として地域建設業とスクラムを組む必要性が大です。

米田先生も「物事が順調に作用(動作)している時は得てしてそのありがたさを感じないもので、不調や故障して初めてそのありがたさを感じるものである」とおっしゃられていましたが、まさにその通りだと思います。

地震や災害時、真っ先に現場に急行するのは地場建設業です。
そしてそれらの情報を行政や関係機関へ情報提供し、必要に応じては被害拡大の防止策も講じています。
これは工事契約があって実施するものではなく、初動段階は全て手弁当で行っているのです。

今年2月24日、北海道の国道274号長沼地区で猛吹雪のため約140台の車が立ち往生する災害が発生しました。
(※その際の参考資料はこちら(pdf)へ)
除雪車でさえ簡単に辿り着けない現場へいち早く雪をかき分け駆け付け安否確認や食料・飲料水そして燃料を供給したのは地元建設業の方々でした。
ところが多くの報道では雪害による通行止ばかりが注目され、陰でこのような多大なる貢献があったことを一般の方で知る方は少ないかと思います。
(※一部業界紙では報道されました)

緊急時、このような対応が可能となるためにも地場建設業は健全経営で成り立っていなければならないのです。




最後に3番目のテーマである「建設業の未来」についてです。

しかしそうは言っても建設業だけを特別視できない社会環境が進行しつつあります。

これまでの歴史を振り返ると今後建設業に対し国が新たな抜本策が提供される事は考えにくく、資本主義経済の原理に則り業界は自然淘汰、再編されるものと考えられます。

そこで自然淘汰組となり消滅するか、自助努力し自立するかの道を選択せざるを得なくなります。

米田先生が描かれている建設業の将来イメージです。
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過去のように多くの公共事業投資が存在した時代は(専業)建設業として地域でも成り立っていたかもしれませんが、今後は(複業)建設業として活路を見い出して行くことも急務に思えます。


すでに建設業界の若手を含め生き残りにかけたセミナーが何度となく開催されているようです。

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米田先生曰く、日本人は「無言は美徳」とする独自文化があり、建設業界も長年地域社会貢献に対しそのような風潮があったように思うが、今後は積極的に外へ向けて存在意義を含め情報発信する事も大切であると提言がありました。

私も全くその通りだと思います。

また「日本に建設業は必要か?」と問いかけられれば当然「必要です!」と私は答えます。


しかし残念ながら現状ある全ての業者は必要ありません。
業界再編により生き延びる力がある企業が残ることになるかと思います。

今回の番組テーマでもある「建設業は悪者でよいのか?」については、建設業自らそのイメージ脱却に努めなければなりません。

談合」もそうですが、国民からは官民の馴れ合いで美味しい汁を啜っていると見られています。
それは悪代官と越後屋の関係に例えられているのかもしれません。

水戸光圀がいない現状、その役はだれが担うことになるのでしょうか。(笑)

我が国に公共事業は絶対必要です。
しかし闇雲に公共事業増大を声高らかに叫ぶのではなく、建設業が地域で自立するため、米田先生の提言にあるような(複業)建設業に向けた具体的行動も必要ではないでしょうか。

少なくとも公共事業が国民の血税によって行われるものだという基本理念だけは忘れないでほしいと思います。


本当に必要とされる数だけの業者数になり、競争原理による「安ければ良い」から安全性や構造物の寿命・維持性を考慮した「最良な適正価格」で工事が実施され、アセットマネジメントが加味されることを切に願いたいと思います。

今回番組内で、悪者イメージを拭うためのヒントをいくつか提供いただいた感じがしました。

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コメント

見たいので、再放送時間を確認しました。
(今週)
火曜 夜10:00~10:55
火曜 深夜1:00~1:55
水曜 午後2:00~2:55
金曜 夜11:00~11:55
土曜 午後1:00~1:55

う、このチャンネルの契約はしていない・・・

投稿: ど凡 | 2008年12月 9日 (火) 09時15分

■ど凡さん
>う、このチャンネルの契約はしていない・・・

すぐチャンネルを契約して下さい。(爆)

・・・録画DVD送りますか?

投稿: 北海太郎 | 2008年12月 9日 (火) 09時50分

温泉マン、とても分かりやすくまとめていただき、ありがとうございます。CSとはいえ、朝日新聞系のメディアが建設業のことをまともに取り上げてくれた意義は大きいと感じます。

投稿: 北海道のA木 | 2008年12月 9日 (火) 10時32分

>北海道A木様
この度は番組情報をいただきありがとうございました。
久々に建設業について考えさせていただきました。
非常に興味深い内容だったので地上波でも放映してほしいですね。

投稿: 北海太郎 | 2008年12月 9日 (火) 10時42分

温泉マンさんのご意見に共感します。これからの時代を生き抜くNew建設業のビジネスモデルを確立せねばなりませんね。

我が家も未契約Chでしたweep

投稿: だいひまじん | 2008年12月 9日 (火) 12時23分

■だいひまじんさん
そろそろ新しいビジネスモデルを立ち上げますか。
資金はCAD本の印税やアフリエイト収入で生活をなさっているあの方々にお願いしたいと思います。(笑)

投稿: 北海太郎 | 2008年12月 9日 (火) 12時49分

勉強させていただきました。
松原先生をどのような意図でお呼びしたか不明ですが、建設不況を社会現象と捉え、建設業の変身方法について米田先生と実現の可能性を探るのがプロデューサーの目的であれば正鵠です。
米田先生のメソッドはその通りでしょう。
国交省、国総研も同様の方向を見ているふしがあると思ってます。
残念なのは、財布を握るセクションが、上から下まで他人事のように見えることと、国会議員の理解が不足していることです。

投稿: u.yan | 2008年12月 9日 (火) 16時28分

■u.yanさん
記事内では少しヨイショ気味に書きましたが、実際複業建設業を目指せる企業はかなり少ないのではと思っています。
建設業と政治の関わりが今後どのように変化できるかが大いなるターニングポイントかと思います。

投稿: 北海太郎 | 2008年12月 9日 (火) 17時08分

The credit loans are essential for people, which would like to organize their business. As a fact, this is very easy to receive a small business loan.

投稿: Callie33Wiley | 2011年12月 6日 (火) 19時30分

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